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執筆者の写真第九in市川

『新型コロナウイルスと歯科治療』

更新日:2020年11月7日

     歯科医師 髙本 敏政(テノール)

 

 新型コロナウイルス感染予防のため、歯科診療受診を控えるべきか否か、現在までわかったことをお知らせします。参考にして頂ければ幸いです。

緊急事態宣言が発せられてから他業種同様、歯科でも受診を控える患者さんが多くなりました。歯科医院側も密を避けるため予約数を少なくするなどの対策をしました。4月の受診減少率は全国平均で20%強程度でした。東京では休診にしたため経営が悪化した医院もあるようです。

その間、明らかになったことは、歯科診療での感染リスクは予想に反してきわめて低いということです。ソフトバンクが行った抗体検査の結果、歯科医院従事者(歯科医師、歯科衛生士、歯科助手)の新型コロナウイルス抗体検査陽性率は、他科医療機関従事者の3分の1程度であることが判明しました。過日、日本歯科医師会の堀 憲郎会長が「歯科治療を通じての新型コロナウイルス感染例は1件もない。」とのパブリックコメントを発しました。歯科はこれまでも感染対策を徹底しており、他診療科の医療機関、他業種(飲食店、理髪店、美容院等)と比較して過剰すぎると言われています。常時マスクや手袋を使用、診療機器の滅菌も徹底しており、接近して大声で話さないようにすることも励行しています。

<東京歯科大学 奥田克爾名誉教授(口腔微生物学)の見解>

歯周病菌が産生する酵素であるノイラミニダーゼ、プロテアーゼがウイルスの増殖、拡散に関与し悪化させる。したがって感染予防対策として、口腔内を清潔に保つことがきわめて有効である。本人もしくは介護者だけによる口腔ケアに比べ、歯科衛生士によるプロフェッショナルな口腔ケアを受けた人は、ウイルスの感染率が約10分の1になる。また、治療前にポビドンヨード液で30秒うがいをすると新型コロナウイルスは99.9%死滅するので、安心して歯科治療ができる。

<千葉大学 丹沢秀樹教授(口腔外科学)の見解>

千葉大学病院入院患者で、周術期(癌などの手術の前後)の歯科衛生士によるプロフェッショナルな口腔ケアを受けた患者は、入院日数、投薬量などが有意に減少する。プロフェッショナルな口腔ケアによって、全身の免疫力が高まったためと考えられる。

歯周病と、糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞等との関連の研究や、口腔(歯と歯周組織、噛み合わせ)の健康状態と、認知症・健康寿命等との相関関係を示す研究も多数あります。

コロナに感染し易く重症化する理由は、う蝕(虫歯)や歯周病の治療をせず放置するなど、口腔内が不潔で雑菌が多い可能性にあります。口腔内の雑菌は免疫力を消耗させるため、その分ウイルスに対する免疫力も低下するのです。昔から「口は万病のもと」と言われています。日頃から感染予防対策を徹底している歯科医院に通院して、適切な治療と歯科衛生士によるプロフェッショナルな口腔ケアを受けられるよう推奨します。




















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