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  • 執筆者の写真第九in市川

『新型コロナ下の合唱について』

更新日:2020年11月10日


内科医 池田 啓浩 (バス)


皆様こんにちは。 永寿総合病院総合内科医師 池田啓浩と申します。

本日は、新型コロナ流行下の合唱活動について、私見を述べさせていただきたいと思います。

〇新型コロナウイルスについて

新型コロナウイルスは2019年12月に武漢で集団発生が報告されてから瞬く間に世界中に広がり、11月3日時点で感染者4640万人、死者120万人がこれまでに報告され、依然パンデミック(世界的流行)の状況にあります。日本国内でも第一波、第二波をすでに経験し、多数の感染者が出ており、近々第三波がやってこようかという状況です。徐々に知見が積み重ねられてきて、予防法や治療法にも少しずつ道が見えてきていますが、まだまだ油断はできない状況です。

感染経路は飛沫感染が主体で、接触感染もあるとされています。また、医療現場などの限られた状況ではエアロゾル感染も起こりうるとされています。

〇合唱について

このような新型コロナ流行下では、様々な社会活動に規制がかかっており、音楽活動も例外ではありません。新型コロナは飛沫感染が主であるため、多様な音楽活動のうち、特に合唱は、最も感染予防が難しく、リスクが高い分野だと思います。

ですので、練習や活動にはいくつもの工夫が必要で、現在各種団体で実証実験や取り組みがされている状態です。

ここでは、日本合唱連盟のガイドラインを基に考えてみたいと思います。



〇練習について

新型コロナウイルスは飛沫感染が主ですので、練習ではマスク着用が原則と思います。

N95マスクである必要はなく、普通のサージカルマスクでよいでしょう。ただ、そのままでは息継ぎが充分できないので、マスクインナーや立体ブラケットの利用がおすすめです。中に装着してもマスクからはみ出さない大きさのものがいいと思います。

尚、マウスガード、フェイスガードは効果が薄いので、単独では感染予防にはならないと思います。

クラスター発生の予防には換気がとても重要です。常時でなくとも30分に5分程度は窓を開けて換気するとよいと思います。換気装置があれば常時稼働しておくとよいでしょう。接触感染の予防のために練習場の入り口で手を洗うか、アルコール消毒をするとよいと思います。

練習時の個人個人のディスタンスは2mを保ったままで。そして、練習会場では、食事しない、マスクを外したまま会話しないことが大切です。また、練習の前後で会食に行かないことも重要だと思います。

〇自己管理について

 日々体温測定をする習慣をつけましょう。体調が悪ければ練習に参加しないことが大切です。合唱団内でクラスターが発生すると、合唱団そのものの存続が危ぶまれます。また日ごろから、危険な行動を避けることです。危険な行動とは、「3密+大声」になります。

そして、メンバー全員での、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の利用もおすすめします。


〇本番について

 本番では一人一人の距離を開けて(最低1m)、舞台上の換気が充分にできるような状況ならマスクをつけなくてもよいだろうと思います。

 客席との距離は、2m以上十分にとる必要があります。合唱のスタイルでは、観客席に向かって一人一人の呼吸が合わさって気流が発生することが分かっており、客席から舞台裏に向かう換気ができると一番望ましいと思います。

 この場合も、事前の感染予防、体調管理を万全にして、風邪症状があるようなら不参加としていただく必要があります。

〇今後について

 今は忍耐の時が続くと思いますが、新型コロナウイルスの流行はいつか収まります。今後ワクチンが広く使用され、有効な治療薬が開発されれば、いずれインフルエンザや一般的な風邪と同じような位置になるのではないかと思っています。2021年中にはそうなる可能性が高いでしょう。ただ、新型コロナウイルスによって多くのことが変わり、合唱のスタイルも変わっていかざるを得ないと思っています。その中でも、合唱という大切な文化を守り、楽しみ、続けていくことは必ずできると確信しています。

ありがとうございました。



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