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執筆者の写真第九in市川

「第九との出会い」

更新日:2020年5月14日


 第九in市川 副代表 小山 義雄

小生の長い合唱歴(高校時代からスタート)の中で、「第九」に出会ったのは1985年(昭和60年)の4月、東京都千代田区九段下の銀行本店に勤務していた40歳の頃であった。その九段界隈の企業や商店主、サラリーマン、学生が参加して企画された「千代田区第九特別演奏会」が、小生初めての「第九」である。

当時勤務していた銀行には、いわゆる職場のコーラス部があり、小生も参加していた。そこでは清水脩氏など、著名な邦人作曲家の合唱曲が歌われていた。

このコーラス部は、コンクール参加を目標とする団体で、経済団体が音頭をとる「産業人合唱コンクール」という大会に参加し、全国大会にも何度か出場していた。ただ、ここはベートーヴェンとは無縁の世界であった。

当時このコーラス部を指導して頂いたのは辻正行先生(*書籍紹介)で、この方はアマチュア合唱団の指導において顕著な実績を残された方であった。この辻先生の指導の下に、「第九」演奏会の練習に励んだ。

大学で、ドイツ語の「Ich liebe dich」くらいしか習ったことがない小生がシラーの詩を歌い込むことと、初めてオーケストラとソリストと共に歌うことは、小生にとって難題であり、大きなチャレンジでもあった。

さらに、テナーよりは楽であろうと思って選んだバスパートも決して楽ではなかった。高音域が次々出てくる。これはなんだ?人の声は楽器!の発想でスタートしているではないか。

しかし、これらの難題や課題を克服してさらに練習の成果もあり、演奏会もどうにかクリアー出来た。

こうして小生の合唱歴に新たな一頁が加えられたことは大きな自信になった。

小生は現在2つの合唱団に所属し、もっぱら宗教曲に取り組んでいる。 その一つの合唱団で、同じベートーヴェンの大曲である「荘厳ミサ」(ミサソレムニス)の演奏に取り組んだ。

今年1月に行われたその演奏会に来てくれた友人が以下のような感想を述べてくれた。

「キリスト教の力を感じる。それを演奏する強い意欲も感じる。そしてその世界観を表現するには終わりはなさそうですね」

そう、エンドレスなのである。その世界観の表現は、合唱を続けていく我々の使命でもあると思っている。

宗教曲は概ね神への祈りを捧げるミサである。それと同じく「第九」も、人類の連帯、平和への希求、そして神への祈りを込めた超教派の賛歌ともいうべき、宗教曲の1ジャンルといえるのではないだろうか。

ベートーヴェンは『楽聖』 ”聖なる音楽家” と呼ばれ、過去の偉大な作曲家たちの頂点に立つ存在だが、彼の偉大な遺産の中でもとりわけ「第九」は、永遠に歌い継がれていく金字塔ともいうべき作品であると思う。 我々はその流れの一端を受け継ぎ、後世にバトンタッチしていく名誉ある役割を担っている。

さあ、兄弟達よ、今まさに高みを目指し、歩みだす時ではないか!


* 【書籍紹介】

「歓びの歌」の本 : 辻正行のハーモニー人生 / 熊谷幸子 著(情報センター出版1985刊)






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